恋愛妄想小説『恋のカラッカラ騒ぎ』

ゲスト：あごうさとしさん（ＷＡＮＤＥＲＩＮＧ　ＰＡＲＴＹ）


波瀾万丈？な編入初日から１週間

吾郷くんのおかげで、すんなりとクラスにも慣れることが出来た。

あんなドラマみたいなきっかけがあったら、絶対恋に落ちてしまうと思う。

こんな事が現実に起こるなんてって…と彼との運命的なものを勝手に感じてしまう。

この１週間は、毎日鏡をみて、化粧をして、OPAに買いに行き、デートするなら…と想像をして服を買った。

だけど、あの日以来、吾郷君を見かけない。


みさと「まじで面白かった〜　ビーレイトの漫才！あははっ　思い出しただけでも笑ってしまう〜。」

私「佐々木さん、何回言うのよ…。」

みさと「みさとでいいってば〜。」


佐々木みさとは、１日一回はあの漫才の話をする。人見知りな私をいつもこうして昼食に誘ってくれる。神奈川県出身で一人で関西に来た彼女だけど、交友関係も広くて男友達も沢山いて、うらやましい人だ。


みさと「吾郷くんてさ、あんまり学校来ないんだよね。あ、違う。来てるけど授業には来ない。」

私「え？学校には来てんねや？」

みさと「サークルばっかり行ってるんじゃないかな。面白いからもっとゼミに来てほしいんだけどな〜。」

サークルか…。どこのサークルなんやろう…。

みさと「あれ〜？もしかして気になってる系？」
私「は！？いや、別にそういう訳じゃないけど。」
みさと「や〜;ん、でも分かる分かる。ああいう事があったら、ちょっと意識するよね〜。」
私「そんな意識とか別にしてないけど！」
みさと「そう？私だったら好きになるかも。」
私「…。そうか？」
みさと「少なくとも気にはなるでしょ。」
私「いやー、あの日以来会ってないから、なんとも言えんな〜。」

いやいや、断然意識してるやん！素直じゃない私め！

みさと「ほんなら、会ったら答えが出るってことだよね？」
私「せやな。心臓がどきっとしたら恋かな。なんつって。」
みさと「吾郷く〜ん！」
私「ええええ！」　

思わず立ち上がってしまった！


みさと「…紙本さん、予想以上の反応なんだけど〜　うそうそ　冗談！」

みさとが笑い転げている。

自分でもびっくりした。あんなに心臓がびっくりするなんて。
でも一瞬嬉しかった。会えると思ったから。
今は、なぜかほっとしている。


みさと「答えが出たね〜。」
私「そうやね・・・。」
みさと「どこのサークルッて言ってたっけな〜。あ！！！吾郷くん！」
私「もういいちゅーの。」


「お疲れっす！」


心臓が飛び出そうになった。背後から聞こえてくる声。この１週間ずっと想像していた瞬間だった。

吾郷「紙本さーん　と、、、ごめん名字なんやったっけ…？」
みさと「佐々木ですけど！」
吾郷「失敬失敬！下の名前はしってる。　さとみ！」

みさと「しばく。」

吾郷「冗談です。あははは　あんまりゼミ行ってないから記憶が…。」

ああ〜どうしよう。何もしゃべれない。
吾郷くんはみさとにこの１週間のゼミの進捗を確認している。
私、いまどんな顔してるんやろう。


吾郷「紙本さん、学校慣れた？」
私「あ！おかげさまで。」
みさと「吾郷くんってさ、サークルどこ？」


みさとナイスだ！


吾郷「着ぐるみサークル。なんで？入ってくれんの？」
みさと「ああ、紙本さんがサークルどっか入りたいらしく。」

ええ！

吾郷「そうなん！じゃあ！うちのサークル来てよ。今人数減ってて大変やねん〜。」
私「ああ。」
吾郷「今日１７時からサークルミーティングあるし！」
私「ああ・・・。」
吾郷「ボックス棟の３Fわかるやんな？１７時に！じゃ！」

着ぐるみサークル…。入学式の時のあれのことよね。

着ぐるみサークルか…。

みさと「笑ける〜　着ぐるみサークルやってさ。どんな活動してるんだろうね〜。でもここは入るべきだね。」
私「とりあえずミーティングには行ってみるわ・・・。」

みさと「紙本さんの名前は覚えてくれてたね。」

私「え？」

みさと「私２年間ゼミ一緒やってんけど〜。」

あ〜、そういえばそうだ！

なんか、嬉しい。っていうか忘れられてても悲しいけど…。
彼にとっても特別な出来事だったのかな。そう思ってもいいかな…。



物語はフィクションであり、出来事は全て紙本の妄想による架空のものです。
妄想に快くご協力頂いたあごうさとしさんに、深く感謝申し上げます。